知っておきたいエクステリアにおける植栽の選び方と基礎知識

こんにちは!エクステリアにおける植栽(しょくさい)選びのプロフェッショナル

長谷川造園の田端です!!庭に緑が欲しいけど、どんな木をどんな場所に植えたら良いのか分からない方が多いのでは。そこで今回は『エクステリアによる植栽の選び方』というテーマでお伝え出来ればと思います!!

 

樹木を植える目的を考えよう!

 エクステリアにおいて住宅の外部空間や・アプローチ・庭など限られたスペースであったり、隣地の状況を考えると、どんな樹木でも使えるというわけではありません。成長が早く大木になる種類(街路樹や公園などで使われる高木)は庭木には向きません。

一般家庭の植栽としては剪定(せんてい)がしやすく、大きくなりすぎない手入れの難しくない種類の植栽がよいでしょう。

また庭木を植える上でもう一つ大切なことは、その植木の役割を考えることです。

門周りやアプローチのシンボルツリーとして使うもの。境界際・道路際に人の立ち入りを防ぐ植栽や周囲からの目隠しとして使うもの。日差しの強くあたる場所へ木陰を作ったり、逆に冬場に葉を落とすことで暖かい日差しを取り込むもの。など、見た目だけではない機能面も考慮することで過ごしやすい空間づくりを演出することができます。

 

門周り・アプローチ・前庭(まえにわ)

お家の第一印象に残る木は、シンボルツリーと呼ばれ、高木(こうぼく)・中木(ちゅうぼく)・低木(ていぼく)・草花を正しく配置することでお家の印象をより良いものに変えてくれます。

※一般的にその樹種(じゅしゅ)が成長した高さが5m以上の木に育つものを(スギやケヤキ、ブナなど)『高木』、3mを超える事がないものを(アジサイやヤマブキ、ツツジなど)『低木』、高木と低木の間の高さで連続して植栽し生垣などに利用されるものを(キンモクセイ、コニファー、カナメモチなど)『中木』とします。

 

門周りやアプローチ、前庭等は建物や外構のデザインを考慮する必要があります。

また樹木の大きさ・成長のスピード・常緑と落葉のバランス・季節感・日照条件等を総合的に考え計画を立てていくことが大切です。

最近では虫の苦手な方や、手入れを不安視する方など多くいらっしゃいますし、当店でも虫が苦手な方や手入れの自信がないといったお悩みのご相談を頂くことはよくあります。無理に植栽を入れるのではなく、自分のペースで楽しむ事が出来る植栽を選ぶ事もとても大切です。

前庭部に植栽を取り込むことで短いアプローチにも奥行きが生まれ、構造物にはない柔らかさや季節感を演出することができます。

 

オリーブの木の影がデザイン塀に映り自分だけのオリジナルデザイン塀を!!

 

目隠しを目的としたフェンス。目的は達することが出来てもどこかそれだけでは味気ない。植栽を入れることで風の揺らぎや、色の変化を楽しめますし、このお家もタイルに映る影が可愛らしいと感じるのは自分だけではないはず!!

 

主庭(洋風)

主庭(しゅてい)とは外構の中で最も広い、メインとなるお庭のことです。比較的南側に来ることが多いですが、家の配置によっては南側には限りません。北面に主庭が位置する場合は陰樹(いんじゅ※日影でも育つことの出来る植栽 シラカシ・ツバキ・エゴノキなど)を選び計画を進める必要があります。施主様がご自身で植栽し栽培する家庭菜園や花壇等は日照条件を考えて配置します。

ウッドデッキやテラスデッキを設け、外での時間を過ごす場合は夏季の利用を考慮して、木陰をつくる緑陰樹(りょくいんじゅ)をその近くに計画すると良いでしょう。また冬場暖かい日差しを取り込もうと考えると落葉樹(らくようじゅ)が良いですし、お隣からの目隠しにと考える場合は常緑樹(じょうりょくじゅ)が良いでしょう。

※落葉樹とは読んで字のごとく冬になると葉を落とします。一斉に葉を落とすので掃除の大変さもありますが、秋には紅葉(こうよう)し冬には樹形(じゅけい:枝ぶりや木の形)を楽しむ事ができますし春の新緑も綺麗です。ケヤキ、モミジ、カエデなど秋を彩る植栽は多くあります。

※常緑樹は通年で葉っぱのある植栽のことで、冬でも葉が落ちないので寂しくなりがちな冬の庭の演出や目隠しの為の植栽として重宝されます。注意すべきこととして『常緑』と聞くと落ち葉のない植栽と勘違いされがちですが、古い葉は落ちます。一斉に落ちることがないので掃除の面では楽かもしれません。一般的なエクステリアのシンボルツリーとして人気の高い常緑樹はシマトネリコ、ソヨゴ、シラカシなどがあげられます。

 

主庭(和風)

和風庭園には植栽に関して多くの決め事があります。例えば、灯篭(とうろう

)に合わせて背景をつくる『控え(ひかえ)』や灯をちらつかせる『灯障り(ひざわり)』、釣り合いをいれる『副え(そえ)』などの樹木の役割が定められています。またつくばいや景石(けいせき)、池、流れ、竹垣にもそれぞれの役木や添える植栽が定められているなど専門的な知識が必要となりますので、何かお悩みがございましたらお気軽にご相談下さい!!

 

境界部

隣地境界や道路境界に生垣や列植(れっしょく)等で侵入防止の為の植栽や周囲からの目隠しの為の遮蔽(しゃへい)植栽があります。この時考慮すべきは、隣地側からの剪定やメンテナンスが必要な場合は予め隣地様に了解を得る必要があります。

 

植栽を植える上での悩み事

植栽は欲しいが虫の発生は抑えたい

 植物を植えることで付き合っていかなければならないのが虫の発生です。完全に虫がいなくなることは難しいですが、環境を整えてあげることで虫の発生を抑えてあげることができます。虫が多く発生するときは次の事を確認して下さい。

・水はけ・風通し・日当たり・湿気の状況です。水はけや日当たりが悪かったり、風通しが悪く湿気やすい場所では虫が発生しやすい環境といえます。言い方を変えれば虫が好む環境と言えます。最終手段としては殺虫剤を使うことも選択肢としてはありますが、植える段階で適した場所を見つけることをお勧めいたします。

 

植栽後のお手入れについて

植栽を植えた年は水管理を十分気に掛ける必要があります。移植後の植木は人間でいう術後の状態です。その土地にしっかり根を張るまでは手を掛けしっかりと水をやる必要があります。移植後直ぐは毎日水やりを心がけましょう。環境にもよりますが徐々に水やりの頻度を減らして下さい。しっかり根付いてくれれば水管理はそう難しくはありません。

植栽の管理でもう一つ上げられるのが剪定作業です。剪定作業をすることで、樹木の効果を最大限引き出す事ができます。刈り込んで形を作る植栽もあれば、花や実が充実した状態に育つように剪定するもの、自然な形に剪定するものなど、剪定をすることで植栽の見せ方は大きく変わります。剪定をすることで風通しが良くなり虫の発生の抑制効果もあります。また大きさを抑える事も剪定の重要な要素の一つです。

 

以上の事を踏まえて長谷川造園がお勧めする植栽をご紹介致します!!

 

シンボルツリー編

シマトネリコ(常緑高木)

環境:日なた/半日陰 樹高:58M

シンボルツリーの王道ですが常緑で育てやすく市場に多く出回っている分安価に手に入ります。成長が早いので多少剪定を失敗しても次年度にはやり直しがききます。コンパクトに育てる場合は鉢植えで管理します。真冬を避けて適宜芽の上で切り戻して形を整え、下枝を残してできるだけ枝抜き剪定で自然樹形を維持すると良いでしょう。

 

常緑ヤマボウシ(常緑高木)

環境:日なた/ 樹高:5M 開花時期:46月 紅葉時期:1011

結実期:10月 実色:赤

こちらも比較的丈夫で育てやすい植栽になります。赤い果実は生食のほかジャムなどにして楽しめるそうです。初夏に白い花をつけてくれて一年を通して楽しめる植栽です。葉張りは出ずに上に伸びます。強い切り戻しは樹形が乱れるため、枯れ枝や込みあう枝を付け根から間引いて自然樹形を維持しましょう。

 

ヒメシャラ(落葉高木)

環境:日なた/ 樹高:5M 開花時期:6月 紅葉時期:11

結実期:11月 実色:茶

自分も大好きな植栽の一つです。手入れが少なくほっておいても樹形はそこまで崩れません。6月から7月にナツツバキに似た白い5弁の花を咲かせます。木肌の美しさが魅力で、和洋どちらでも調和します。葉張りも狭いので、狭い庭などには最適なシンボルツリーになります。秋には落ち着いた雰囲気の紅葉が見られます。

 

エゴノキ(落葉高木)

環境:日なた/ 樹高:5M 開花時期:5月  結実期:10月 実色:白

5月~6月頃に、白い花を下向きにつけ、秋には卵形の果実がなります。

名前の由来は、果皮に有毒でえぐみがあることにより名付けられたとか。

垂れ下がった実が可愛らしくこちらも一年を通して楽しめる植栽です。

 

シラカシ(常緑高木)

環境:日なた/ 樹高:10M  結実期:10月 実色:茶

細長くスマートな形の葉は優しい印象で庭木として人気が高く、またカシ類の中では耐寒性が強く生長も早いです。逆に言うと成長が早いので大きくなる前に剪定をしてあげる必要があります。すぐに成長するので難しく考えずに密になっている場所をバシバシ剪定し、ミスしても次年度再チャレンジすれば良いという思いでメンテンスしても良いでしょう。

 

番外編

ここではフツフツと人気が上がってきている植栽をご紹介致します。他のお庭との差別化を図りたいという人にお勧めの植栽を取り上げてみます!!

スモークツリー(落葉高木)

環境:日なた/ 樹高:4M 開花時期:57

スモークツリーの名前は、花後、結実(けつじつ)しない花柄には糸状の細かい毛が密生し、その花穂の様子が煙っているように見えることから名づけられました。ヨーロッパから中国にかけて分布する雌雄異株(しゆういしゅ)の落葉樹です。耐寒性、耐暑性に優れており、病害虫の発生もほとんどなく、育てやすい樹木です。

 

オリーブ(常緑高木)

環境:日なた/ 樹高:24M  開花時期:57

結実期:10月 実色:黒紫

一年中、季節を問わずに緑葉をつける常用樹なので、観賞用として、とても人気のある樹木です。旧約聖書のノアの箱舟から、放った鳩がオリーブの枝をくわえて戻ったことで、地上に平和が戻ったとわかり、そのことから、平和の象徴、幸福を呼ぶ木として親しまれています。果実は含油率が高く、オリーブ油用に使われるのが特徴ですが、他家受精(たかじゅせい)するので、2種類以上の品種を植えないと結実しません。

 

ユーカリ(常緑高木)

環境:日なた/ 樹高:510M  開花時期:1011

ユーカリというとコアラが食べるイメージがありますが、もちろん庭木でも美しく、また切花でも人気の樹木です。ユーカリの人気は銀葉と呼ばれるシルバーがかったグリーンの葉が美しく、さらに香りのよいハーブとしても人気です。

ハーブとして人気がある樹木としてはゲッケイジュの葉(ローリエ)も有名です。

 

コスヤシ(常緑高木)

環境:日なた/ 樹高:5

羽状葉のヤシの中では最も耐寒性が強いので北陸地方でも植栽可能です。

葉は裏が白色で、弓のように大きくそり返ります。

78月頃に棍棒状の苞が裂けて中から1mほどの花穂を出し、多くの赤紫色の小さな花を咲かせます。89月に熟す実は芳香があり甘く、食べることができます。

 

以上『エクステリアにおける植栽選び』ということでまとめてみました。植栽は奥が深くまとめきれない部分がありますが、少しでも植栽に興味を持って頂けたらと思います。お庭に植栽を取り入れてみたいという方はお気軽に長谷川造園までお問合せ下さい!!