こんにちは。外構のスペシャリスト、長谷川造園の長谷川です。
建物の工事が完了して最後に行われるのが外構工事になります。建築の図面同様に外構工事を施工する際には外構図が必要になってきます。建築の図面が初めてだったように、外構の図面を見るのも初めてという方がほとんどだと思います。実際、外構図をみても様々な記号などが記載されていて、分からないことが多いと思います。外構は建物の次に高額な買い物になるので、絶対に後悔してほしくないと思いますので、理想の外構づくりができるよう、ここでは外構図の見るべきポイントを絞って説明させていただきます。
■外構図とは
まず外構とは、塀や庭、植栽、アプローチ、車庫などの建物の周りのことをいい、建物の正面部分のデザインと合せて建築物の顔となるとても大切な要素です。外構には、塀で囲まれたクローズド外構から、囲いを設けないオープン外構、垣根やフェンスなどで囲むセミクローズド外構などがあります。
そして、これらの外構を造るための設計図になるのが外構図となります。建物の設計と同様、外構をどのような材料を使って仕上げるかを決める図面です。
■外構パースと外構図の違い
外構パースは「Perspective Drawing(透視図)」の略で、建物などの外観や内部を一定の図法で立体的に表現した図をいいます。建物の外観などを立体的に表現することによって、建物の全体像などを誰もが容易に把握することができます。
外構図などの設計図は、細かな寸法や仕様などが記載されている平面的な図面であり、一般の人では完成状態をイメージすることは困難です。そこでパースを使用することによって、使用する材料の色やデザインを忠実に再現することで完成状態を直感的に把握できるようになります。
■外構図の役割について
外構図には施工内容や仕上げが記載されており、施工内容や工事範囲が希望されている通りになっているか確認してください。特にメインとなる駐車場となる位置や大きさ、アプローチの位置などは必ず確認してください。
■外構図の見方について
外構図には様々なアルファベットや数字が記載されています。
「BM、GL…」と様々なアルファベットが記載されているともいます。
「BM」とは建物の高さや位置の基準点となるものを表し、ベンチマークといいます。ベンチマークは、主に周囲にある既存工作物や杭などとします。既存工作物の例として、電柱や塀、道路わきの側溝などがあり、ポイントは、工事が完了するまでの間、「動かないこと」です。ベンチマークは設計時に決めますが、工事が始まってからも利用します。動きやすいものにベンチマークを設定すると、基準点にした意味がないです。そのため、基準となるポイントは「BM±0」と設定し、その基準ポイントから高さを表していきます。また、ベンチマークは通常2カ所以上に設け、2カ所のベンチマークを相互にチェックします。
例えば「新設ブロック天端=BM+500」と書いてあれば基準点であるBMから500㎜上がったところがブロックの天端という意味になります。BMの位置さえ分かってしまえば図面の中にある構造物の高さがすべて理解できるようになります。
「GL」は地盤面の高さを表します。英語では「Ground Level(グラウンド・レベル)」または「Ground Line(グラウンド・ライン)」です。前面の道路よりも20cm〜30cm高くするとベターです。「GL」の設定によって地盤面を盛土をしたり削ったりします。高すぎるとアプローチの勾配が急になってしまい、逆に低すぎると雨水の処理が出来なくなります。また、土地は決してまっすぐではありません。左右で高さが異なるケースがほとんどなので、敷地近辺の高さを測量し、よく検討して「GL」を決めましょう。
次に縮尺・スケール(SCALL)です。図面には必ず縮尺・スケールの記載がされています。現物からの縮尺度合いを表したものです。縮尺1/100というのは、100分の1のスケールで記載されているということです。図面記載される数字の単位は、ミリ単位で記載されており、1,200と記載があれば、1.2mのことをいいます。
■まとめ
建物の床は水平にすることが必要ですが、外構は勾配をつける必要があります。
道路を歩いているとあまり気にならないかも知れませんが、基本的に全ての場所で少しずつ勾配がつけられています。勾配をつける理由としては、水が溜まらないようにするためです。
降ってきた雨水をきちんとどこかに流していく必要があって、そのために外部には少しずつ勾配がついています。水というのは基本的に高いところから低いところに必ず流れるという性質を持っています。そのため、水を最終的にどこに流していくかを意識して、そこに向けて少しずつレベルを変えていく事が求められます。
建物が建つ敷地の条件によって外構図は色々な検討が必要になりますが、簡単そうに見えて実は結構複雑です。ただ、仕上がりに関しては建物と違い、外構は主に土やアスファルトですから、あまりシビアな施工が出来ないという問題もあります。建物の工事では1㎜単位で寸法を押さえていくのですが、外構の工事となると地盤レベルを1㎜単位で押さえるのはシビアすぎます。相手は土ですから、ちょっと人が歩くだけで1㎜くらいは土がへこんでしまいます。そのため、厳密に高さは数㎜程度変わってきます。
建物の周囲をとりまく周辺環境は非常に重要な要素になり、それを検討するための図面として、外構図は欠かすことが出来ない図面になります。外構が施工されていない建物と外構が施工させている建物とでは、外構が施工されている建物のほうが魅力的なものになります。また、植栽や樹木があるというのは、建物にとって大きなポイントとなり、どのような植栽を植えていくかなども外構図で表現していくことになりますが、上手く樹木を配置していくと、本当に建物を美しく際立ててくれます。植栽や樹木を下からアッパーライトで照らすなど、照明をセットで計画していくと、魅力が増します。
このように、外構図は思いの詰まった建物をさらに美しく際立てるための外構の設計図となり、とても重要なものになります。弊社ではお客様にご提出する外構図やパース図のほかに、施工するための施工図の作成をおこない、細かなところまで検討したうえで施工いたします。設計から施工までおこなうことで、お客様の建物がより一層魅力的な建物となるよう努めております。